目次
1. はじめに:AI生成ESが当たり前になる時代へ
「これ、本当に本人が書いたのか…?」
そんな疑念を抱きながら、エントリーシート(ES)に目を通す採用担当者が増えています。
東洋経済オンライン(2025年7月7日掲載)の記事によれば、学生が生成AIを活用してESを作成するケースが急増中。
従来の“文章の良し悪し”では測れない時代が到来しつつあります。
しかし著者は、「AI利用=不正」と切り捨てるのではなく、
それも学生の情報活用能力として評価すべきだと指摘します。
本記事では、国内の最新調査結果や企業事例をもとに、
AI時代に求められる新卒採用の選考設計と評価手法を徹底解説します。
2. 学生のAI活用状況を数字で見る
まずは、学生がどれほどAIを就活に取り入れているのか、各種調査結果を見てみましょう。
- マイナビ(2025年5月):生成AIを使ったことがある学生は 82.7%、
就活での利用に限ると 66.6% に達し、前年から2倍に増加。
主な活用場面は「ESの推敲(68.8%)」「ESの作成(40.8%)」。 - PR TIMES(2025年春):ES作成支援のためにAIを使った学生は 34.6%。
約6割が「1〜5時間の時間短縮ができた」と回答。 - reashu(2025年4月):「AIで作成したESをそのまま提出した」学生は 6.3%。
一部活用も含めると 23.2% にのぼる。
このように、AI活用はすでに一部の学生の間で“当たり前”になっており、
「自分で書いたESかどうか」を表面上の文章から判断するのは難しい時代になりつつあります。
3. 企業が直面する課題と見抜く力強化の必要性
書類だけでは判断しきれない──だからこそ、企業側には選考設計のアップデートが求められます。
多くの企業が模索しているのが、面接での「深掘り質問」や「ケーススタディ」です。たとえば…
- 「あなたが最も困難を感じた経験は? どのように乗り越えましたか?」
- 「その時の具体的なエピソードを、時系列で教えてください」
- 「仮にその状況で上司が非協力的だったらどうしますか?」
このような問いによって、“実体験に基づく回答”か“AIが整えた模範回答”かを見極めることができます。
また、ATS(採用管理システム)やオンライン面接ツールを併用することで、
選考プロセス全体の可視化・効率化も可能です。
4. 採用設計のアップデート法
生成AIは学生にとって「自己分析の補助ツール」としても機能しています。表現の改善や客観的評価、新しい自己PRの発見など、ポジティブな活用も進んでいます。
そのため企業も、「AI利用を見抜く」よりも、「AI活用を前提とした選考設計」にシフトする必要があります。
たとえば近年注目される手法として、RAG(Retrieval-Augmented Generation)や実務想定を盛り込んだ評価設計があります。
- 「社内調整が必要な状況で、あなたはどう動きますか?」
- 「2つの選択肢があるとき、どちらを選びますか? その理由は?」
AIでは答えづらい“判断軸”や“価値観”にフォーカスする質問設計が、今後さらに重要になるでしょう。
5. 書類選考の限界と面接評価基準強化策
「優秀なES」に見えるものが、実は生成AIによるものだった──そんなケースは今後さらに増えると予想されます。
だからこそ、面接での評価基準の明確化と求人票の見直しが重要になります。
- 求人票の内容が曖昧だと、面接の質問もブレやすくなります。
- 「なぜその質問をするのか?」という設計意図を明文化する必要があります。
- チェックリストやスコアシートで評価軸を標準化することで、属人化も防げます。
書類と面接の両輪で、ミスマッチを防ぐ評価設計が企業の競争力を左右します。
6. 企業側にも原因が?AI時代の採用意識転換
面接のバックレやミスマッチが発生する背景には、企業側の“伝え方不足”や“期待値のズレ”が潜んでいることも少なくありません。
- 求人票が抽象的でイメージが湧かない
- 面接が一方的なヒアリングに終始している
- 学生に「自分ごと化」させる情報が足りていない
AIによって学生が“見せたい自分”を作り込む時代だからこそ、企業も「伝わる採用設計」を再構築する必要があります。
7. まとめと今後に向けて
AI生成ESの普及によって、従来のように「内容の良し悪し」だけで学生の力を測ることが難しい時代に突入しました。
これからの新卒採用では、
- 書類と面接の“合わせ技”で多面的に評価する
- AI活用力そのものをポジティブに捉える
- 判断軸や再現性を問う評価設計を強化する
「AIに書かせているからNG」ではなく、「どう使いこなしたかを見極める」姿勢が、これからの採用担当者に求められる力です。
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