「地下から、当たり前の暮らしを守る。」独自の技術を全国へ。二幸削進工業が目指す、これからのインフラ工事
掲載日:2026年8月24日
道路の下には、下水道、水道、電気、ガス、通信など、私たちの生活に欠かせない多くのライフラインが通っています。
普段の生活で、その存在を意識する機会はほとんどありません。しかし、老朽化や地震などによってひとたびトラブルが起これば、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼします。
そんな「地下のインフラ」を50年以上にわたって支えてきたのが、東京都葛飾区に本社を置く二幸削進工業株式会社です。
同社は1967年の設立以来、上下水道をはじめ、電気、ガス、電話などのライフラインの新設・維持管理工事を手掛けてきました。現在は特に下水道分野を得意とし、道路を大きく掘り返さずに地下で工事を行う技術や、下水道管を地震から守る独自の耐震化技術を展開しています。
2011年には耐震化技術の特許を取得。その後も特許を取得し、独自工法である「NS切削工法」「リメイクリング」は建設技術審査証明を取得しています。さらに、その技術を自社だけに留めず、「NS-R工法協会」を通じて全国へ普及させているのも大きな特徴です。
しかし、ホームページを見ただけでは、専門用語も多く、「実際には何をしている会社なのだろう」と感じる方もいるかもしれません。
そこで今回、代表取締役社長の稲垣裕久さんに、二幸削進工業の仕事をできるだけわかりやすく説明していただきました。
仕事の面白さ、技術の強み、これから会社が目指していること。そして、未経験から入社する方に期待していることまで伺います。
Q1. 二幸削進工業は、一言でいうと何をしている会社なのでしょうか?
稲垣社長:
一番わかりやすく言えば、皆さんの生活に必要なライフラインを、地下から支えている会社です。
私たちが仕事をしているのは、ビルや住宅のように地上から見えるものではありません。道路の下にある下水道や水道、電気、通信などの管を新しくつくったり、古くなったものを直したり、地震に強くしたりしています。
現在の仕事では特に下水道工事の割合が大きく、全体の7~8割ほどを占めています。
例えば道路の下には、何十年も前につくられた下水道管がたくさんあります。それが老朽化して壊れたり、地震によってマンホールと管の接続部分がずれたりすると、道路の陥没などにつながる可能性があります。
そうならないように、普段は見えない地下の部分を調べ、直し、長く安全に使える状態にしていく。
言ってみれば、街の「当たり前」を、見えないところから守っている仕事だと思っています。
Q2. 一般的な土木会社と比べて、二幸削進工業の強みはどこにあるのでしょうか?
稲垣社長:
一つは、道路をできるだけ掘り返さずに、地下に新しい管を通す特殊な技術を持っていることです。
普通、地下に新しい管を入れようと思ったら、その管を通すところまで上から道路や土を掘って、管を設置して、最後にまた埋め戻す工事をイメージすると思います。
でも私たちが扱っている「エースモール工法」は、考え方が少し違います。
基本的に掘るのは、スタート地点とゴール地点です。
そこから、先端に付いた掘進機を地下へ入れて、土の中を少しずつ掘り進めていきます。
イメージとしては、“モグラのようなロボットが、地中を進んでいく”感じですね。
しかも、ただ穴を掘るだけではありません。土を掘り進めながら、その後ろに管をつないで押し進めていくので、地上の道路を大きく掘り返さなくても、地下に新しい管を通すことができます。
長い距離を進めることもできますし、直線だけでなくカーブにも対応できます。
そのため、交通量の多い道路はもちろん、鉄道や河川の下など、上から簡単に掘ることのできない場所でも施工することができます。
完成すると地上からはほとんど見えません。
でもその地下では、特殊な機械と技術を使って、人の暮らしに欠かせないライフラインをつくっている。
「道路を全部掘らなくても、地下だけをモグラのように掘り進めて管を通せる」――そこが、二幸削進工業の技術の面白さの一つだと思います。
Q3. 中でも「耐震化技術」は、二幸削進工業を象徴する技術だそうですね。
稲垣社長:
そうですね。現在の会社にとって非常に重要な事業の一つです。
下水道管そのものが丈夫でも、地震が起きたときにはマンホールと管の接続部分に大きな力が加わります。
そこで私たちが行っているのが、接続部分に「遊び」のようなものを持たせて、地震の動きを吸収できるようにする耐震化です。
「NS切削工法」では、道路を掘り返すのではなく、マンホール側から機械を使って既存の管の周囲を削り、そこへ耐震性を持たせる継手を取り付けます。「リメイクリング」も、既存の下水道を大きく掘り返さず、管とマンホールの接続部分を耐震化するための工法です。
二幸削進工業では2011年に耐震化技術の特許を取得し、その後も複数の特許を取得しています。NS切削工法は2014年、リメイクリングは2016年に建設技術審査証明を取得しました。
ここは当社の大きな特徴で、誰かが開発した技術を使って工事をしているだけではなく、自分たち自身が技術を考え、つくり、施工している会社なんです。
さらに2016年には「NS-R工法協会」を設立しました。現在は全国の企業と一緒に技術を普及させる活動も行っており、二幸削進工業は協会の会長・理事・事務局を務めています。
自社だけで仕事を抱えるのではなく、日本全国にこの技術を広げていく。
そこまで含めて、私たちの仕事だと考えています。
Q4. それだけ全国に技術を広げようとしているのは、やはり仕事の需要が大きいからでしょうか?
稲垣社長:
そうですね。
インタビューでもお話ししましたが、耐震化工事については年間で約1,500ヵ所の施工依頼があり、自社だけですべてを施工するのは難しい状況です。
だからこそ、NS-R工法協会をつくって、全国の会社に技術を覚えていただき、各地域で施工できる体制をつくっています。現在は約30社の企業が参加する規模になっています。
私は、この会社だけが大きくなればいいとは考えていません。
日本全国に下水道がありますし、古くなっていくインフラもあります。地震が起きる場所も東京だけではありません。
必要としている地域があるのであれば、私たちが持っている技術を広げて、各地の会社と一緒に社会インフラを守れるようにしていく必要があります。
二幸削進工業は従業員数だけを見れば決して大きな会社ではありません。
それでも、自分たちが生み出した技術を全国の会社に伝え、日本各地のインフラを守っていくことができる。
これは、うちの会社で働く面白さの一つだと思っています。
Q5. 未経験で入社した場合、最初からこうした専門的な仕事ができるものなのでしょうか?
稲垣社長:
最初からできる必要はまったくありません。
基本的に現場は3名程度のチームで動いていますので、未経験の方が入社した場合は、まずそのチームに「4人目」として入ってもらいます。
最初の2~3か月くらいは、先輩が何をしているのかを見るところから始めます。
道具の名前もわからないでしょうし、現場がどんな順番で進んでいくのかもわからないと思います。それでいいんです。
そこから少しずつ作業を経験して、1~2年くらいで現場全体の流れがわかるようになる。さらに経験を積んで、写真を撮ったり、作業の指示を出したり、安全や工程を管理したりできるようになれば、現場責任者を目指すことができます。
資格取得についても会社で支援しています。
現場で必要となる酸素欠乏危険作業やガス溶接、アーク溶接、移動式クレーン、玉掛けなどの資格については、取得費用を会社が負担しています。現在の採用ページでも、ほとんどの社員が入社1年以内に必要資格を取得していることを紹介しています。
ですから、「土木の経験がないから無理」と考える必要はありません。
まず現場に入って、見て、やって、覚える。
その積み重ねで技術者になっていく仕事です。
Q6. では、二幸削進工業ではどんな人が成長していますか?
稲垣社長:
一番は、元気で素直な人だと思います。
もちろん仕事ですから覚えることはあります。でも、最初から勉強が得意でなければいけないとは思っていません。
うちには、机に向かって勉強するより、体を動かして仕事をする方が好きだという社員もいます。
私自身も20歳から8年間、別の土木会社で働いてから28歳で二幸削進工業に入りました。そこで耐震化をはじめ、さまざまな土木工事を経験したことが、今の技術にもつながっています。
まずは現場を知ることが大切です。
その後、「ずっと現場で技術を磨きたい」という人がいてもいいですし、現場で経験を積んだあとに営業へ進むという道もあります。
さらに責任者として上を目指すのであれば、土木施工管理技士などの資格も必要になります。
私自身も仕事が終わったあと、夜まで残って半年ほど資格の勉強をした時期があります。楽ではありませんでした。ただ、自分の仕事につながる勉強なので、頑張った分だけ任される仕事も増えていきます。
そして、今会社の中心になっているメンバーを見ると、もう一つ共通点があります。
言われたことだけで終わらせないことです。
こちらから一つ伝えたときに、「もっとこうした方がいいのではないか」と、自分で考えて一歩先の答えを出してくれる。
そういう社員は、やはり会社の主力になっています。
Q7. 一方で、夜間工事や全国への出張など、大変な部分もありますよね。
稲垣社長:
そこは、入社する方にはきちんと伝えておきたいと思っています。
まず夜間工事はあります。
例えば国道や都道、県道など交通量の多い道路では、昼間に工事をすると大きな渋滞を起こしてしまいます。そのため、安全面や周囲への影響を考えると夜に施工しなければならない現場があります。
ただ、夜間工事にもメリットはあります。
特に夏は昼間より涼しいですし、夜間の手当も付きます。近年の暑さを考えると、むしろ夜の方が安全に働ける現場もあると私は考えています。
もう一つは出張です。
現在は全国に私たちの工法を広げている途中なので、年間で3~4か月程度、出張を伴う仕事が入る場合があります。
これは求人をするうえで課題だとも認識しています。
だからこそ今、NS-R工法協会のネットワークを全国に広げています。将来的には東北、近畿、四国、九州など各地域の仕事をその地域の協会員が担当し、二幸削進工業は関東近郊を中心に施工するという形を増やしていきたいと考えています。
働き方そのものも変えているところです。
年間休日は127日まで増やしました。残業についてもできるだけ減らし、現場によっては16時半~17時ごろに作業を終え、17時半~18時ごろには退社できるケースも増えています。
会社としても、昔の土木業界のように「暗くなるまで泥だらけになって働く」ことを当たり前にはしたくありません。
技術を高めて効率よく仕事をして、休めるときにはきちんと休む。
そういう会社に変えていきたいと思っています。
Q8. 最後に、これから二幸削進工業へ入社する方へメッセージをお願いします。
稲垣社長:
土木会社というと、年齢層が高い会社を想像する方もいると思います。
二幸削進工業の平均年齢は現在37歳で、20代の社員も数名活躍しています。
比較的年齢が近い社員も多いので、わからないことを聞きやすいと思いますし、役職が違っても、それほど壁のある会社ではありません。
仕事以外でも、サウナやキャンプなど共通の趣味を持った社員同士で、休みの日に一緒に出掛けることもあります。
もちろん、会社だから休日もみんな一緒に行動しなければいけないということではありません。
私は、仕事を頑張るためにも、自分の時間をきちんと楽しんでほしいと思っています。
繁忙期には忙しい時期もありますが、閑散期には有給休暇も取りやすくしています。例えば金曜日に有給を取って3連休にして、遊びに行ってリフレッシュする。そうやってしっかり休んで、また月曜日から仕事を頑張ればいいと思っています。
そして、これから入ってくる方には、今ある会社にただ入るだけではなく、これからの二幸削進工業を一緒につくっていくメンバーになってほしいと思っています。
私たちには、自分たちで生み出し、全国へ広げている技術があります。
その一方で、働き方や組織については、まだまだ良くできることがあります。
最初から土木の知識がなくても構いません。
体を動かすことが好きで、素直に人の話を聞いて、少しずつ仕事を覚えていける方なら、十分に成長できます。
地上からは見えない仕事ですが、私たちが施工したものは、この先何十年も街の地下に残ります。
自分の仕事が、人の暮らしを支えている。
そんな仕事に少しでも興味を持ってもらえたら、ぜひ一度、二幸削進工業を見に来てほしいですね。
インタビューを通して
普段、私たちが目にすることのない道路の下で、暮らしに欠かせないライフラインを支え続けている二幸削進工業。
道路を大きく掘り返すことなく、まるでモグラのように地中を掘り進みながら管を通す技術。地震から下水道を守るために磨いてきた耐震化技術。そして、その技術を自社だけのものにせず、全国の企業と連携しながら広げていこうとする取り組み。
一見すると分かりにくい「地下の仕事」の中には、長年積み重ねてきた専門技術と、私たちの当たり前の暮らしを守る大きな役割がありました。
さらに印象的だったのは、技術だけでなく、働く環境や人材育成についても「これまで通り」で終わらせず、時代に合わせて変えていこうとする姿勢です。
自分たちで技術を生み出し、それを次の世代へ、そして全国へつないでいく。
地上からは見えなくても、その仕事は確かに街の未来につながっている。
今回のインタビューを通じて見えてきたのは、そんな二幸削進工業の姿でした。
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企業情報
企業名:二幸削進工業株式会社
所在地:〒125-0053 東京都葛飾区鎌倉1-3-6
代表者:代表取締役社長 稲垣 裕久
事業内容:ライフラインの新設・維持管理工事
電話番号:03-3672-3911
